もし、あなたが健康関連のウェブサイトを頻繁にチェックしている場合、食用油についての良し悪しの記事は、矛盾があることに気づくでしょう。マーガリンよりバターが体に良いとか、どの脂質成分が体に悪影響をもたらすのか等、一体どれが真実なのか疑問に思っていることでしょう。
食用油の流行りは、その時々によって変化しますが、科学的研究は嘘をつきません。ココナッツオイルは、本当に健康に良いのか、キャノーラオイルは、本当に悪なのか、科学的根拠を基に見ていきましょう。この情報の一部は、あなたが今まで見てきた記事と矛盾する場合があります。あなたの健康の為に何が本当に必要なのか、自分自身の目で見極めていきましょう。
エキストラバージンオリーブオイルは、良い選択肢
エキストラバージンオリーブオイルは、健康の代名詞です。 2017年、研究者たちはオリーブオイルがコレステロール値に与える影響を調査しました。 彼らは、オリーブ油が「良い」コレステロールであるHDLを増加させ、それが炎症などを除去し、抗酸化物質として作用することを発見しました。 Circulationのレポートによると、エキストラバージンオリーブオイルを摂取した参加者は、動脈の動きがより健康になり、その効果によって心臓病を予防することとなりました。
もし、あなたが最高の健康効果を得たい場合は、エキストラバージンオリーブオイルを購入してください。 「エキストラバージン」というフレーズは、”加工されていない”ことを意味します。 オリーブオイルは、煙点が低いため、弱火または中火で調理するのが一番良い方法です。
ココナッツオイルは、思ってるほど体に良くない
多くの有名人がココナッツオイルは、健康上多くの利点をもたらすと支持していますが、科学の研究では、これらの主張をあまり擁護していません。 2017年、米国心臓協会は、勧告声明の中でココナッツオイルの飽和脂肪に対して警告しました。 2009年のLipidsなどのほとんどの研究では、ココナッツオイルがHDLとLDL(「悪玉コレステロール」)の両方を発生させると結論付けています。
ダイエットに効果があると言われていますが、たった数スプーン摂取したくらいでは、その効果は、十分であるとは言えません。 一方で、プリチキン長寿センターの栄養担当ディレクターによると、過剰摂取は有害である可能性があります。 「多くのココナッツオイルを摂取して、健康になるというのは、科学的には無理があります。」とキンバリー・ゴマー・MS/RDは説明します。
マーガリンと他のバター代用品論争
マーガリンが最初に世に出てきたとき、栄養士は、バターではなく、代わりにマーガリンを選ぶように人々に勧めました。 しかし、後に、マーガリンにも多くのトランス脂肪酸が含まれていることを実証する研究結果が出ました。 そして、現代の研究では、どうでしょう?
その答えは、どの研究、どのマーガリンを取り上げるかによって異なってきます。 疫学に関する2つの2017年の研究では、バターをマーガリンに置き換えると、心臓病のリスクが低くなると結論付けられました。 European Journal of Clinical Nutritionの2010年号で、研究者はマーガリンが急性炎症マーカーを低下させることに注目しました。 もちろん、マーガリンより健康的なオイルはありますが、マーガリンは最悪の選択肢ではないようです。
バターではないなんて信じないでしょう
マーガリンとバターの議論は何世紀にもわたって白熱してきました。 どちらにも多くの飽和脂肪が含まれていることは事実ですが、グラスフィードバター(牧草だけで育った牛の乳で作ったバター)には、オメガ6よりもオメガ3が多く、健康的な脂肪酸とビタミンK12が多く含まれています。 マーガリンは、加工過程でこれらの栄養素を失ってしまいます。
2016年、研究者はPLoS Oneのバターに関する60の研究結果の見直しを実施しました。 最新の研究によると、バターを食べることは、死亡率、2型糖尿病、および心血管疾患のほとんどに影響を及ぼさないことが結論付けられました。 「現在推奨されているバターと乳製品については、特定の個々の栄養素(例えば、総飽和脂肪、カルシウム)が、どれくらい影響されるかに大きく基づいています。」と著者は明らかにしました。
キャノーラオイルは、思ったより健康的
キャノーラ油に多くの疑問の声が上がっているにもかかわらず、ハーバード大学の栄養補助教授であるガイ・クロスビー博士は、一般的に考えて「体に良い」と言います。 オリーブオイルと同様に、キャノーラオイルには飽和脂肪が少なく(7%)、不飽和脂肪が多い(63%)ため、有害なLDLコレステロールが減少するとされています。
一部の人々は、キャノーラ油の非常に反応性の高い揮発性溶媒であるヘキセン含有量に懸念を示しています。しかし、ワシントン州立大学の食品サービス局の研究者は、「残留濃度の微量のヘキサンを含む食品を摂取しても、消費者の健康に対するリスクや危険性を実証する証拠はない」と説明しています。 そのため、キャノーラ油による健康上のリスクはほとんどないのが事実です。
ごま油は、栄養価は高くないが健康的
ゴマ油は、強力な風味と高い煙点を持っているため、高温を必要とするレシピには最適です。 ごま油に含まれる脂肪分に関しても、かなり健康的であることが分かっています。 「ゴマ油は、多価不飽和脂肪と一価不飽和脂肪が豊富で、飽和脂肪が少ない」とYummy.comの栄養責任者であるエドウィナクラークRD氏は説明します。 「これらの脂肪は「心臓の健康」を保ち、コレステロールを制御し続けます。」
しかし、ゴマ油は、オリーブオイルなどの他のオイルよりも、はるかに少ない量のビタミンしか含まれていません。また、ミネラルは含まれておらず、ビタミンEおよびKも少量です。ただ、Journal of Cardiovascular Disease Researchの2013年の研究では、ゴマ油が病原菌と闘う抗酸化物質を提供することが報告されました。
植物油は、実際脂肪分の多い大豆油
植物油は、曖昧に定義されていますが、実際さまざまな種類の油の混合物です。 しかし、ショートニング・アンド・エディブル・オイル研究所の社長であるロバート・リーブスによると、植物油ボトルの85%は純粋な大豆油です。 この油は飽和脂肪が少ないものの、一部の研究によると肥満の原因ともなっています。
PLoS Oneの2015年の調査によると、大豆油は肝臓の「バルーニング」を促します。 これは、肝臓に脂肪酸が蓄積し、損傷を引き起こすことを示します。 つまりは、「大豆油は、ココナッツオイルよりも肥満および糖尿病誘発性が高い」と著者は結論付けています。 簡単に言うと、植物油は、ほとんどが大豆油であり、摂取し続けると、肥満や糖尿病の一因となる可能性が高くなるということです。
綿実油は、オリーブオイルより良い
綿実油とは、綿の種子から作られた油です。 油を処理する過程で、天然の毒素であるゴシポールが除去され、食用で調理にも安全に使えるようになります。 2018年、ジョージア大学の研究者たちは、綿実油がオリーブ油よりもコレステロールとトリグリセリドに対して良い効果を発揮することを発見しました。
Nutrition Researchに掲載されたこの研究では、綿実油のユニークな脂肪酸であるジヒドロ立体酸が、より多くの脂肪を燃焼させるために効果を発揮したとされています。 綿実油は、悪い評判も多くありますが、この研究では、わずか5日間でLDLコレステロールを低下させると結論付けられました。 「このような短期間で変化が見られるのは、非常に喜ばしい」と研究著者のジェイミー・クーパーは述べました。
コーンオイルへの偏見は捨てて
コーンオイルは、長年にわたり、多くの賛否両論が繰り広げられています。 Journal of American College Nutritionの1990年の研究によると、コーンオイルは簡単に消化され、健康的な脂肪酸を提供するとされています。また、Journal of Nutritionの2018年の研究では、コーンオイルは、ココナッツオイルよりもコレステロールへの良い効果が得られることがわかりました。
しかし、コーンオイルは、一般的に他のオイルの選択肢よりもあまり良い評判がありません。 2015 European Journal of Nutritionの研究では、コーンオイルが被験者の体重を増加させたことが記録されています。しかし、 2018年、研究者たちは食用油に関する240以上の研究を見直しましたが、コーンオイルには、他の油ほど体重増加に影響を及ぼすものではないと述べました。何でも適量の摂取が重要ですね。
アボカドオイルには、多くのメリットがある
アボカドオイルには、オリーブオイルと同様のメリットがありますが、煙点が高いのが特徴です。Moleculesの科学的レビューによると、このオイルのほぼ70%には心臓に健康な一価不飽和脂肪が含まれています。 2017年のある研究では、6日間アボカドオイルを摂取した人は、インスリン、コレステロール、そして、炎症レベルが改善されたことが発表されました。
The Journal of Nutritionのさらなる研究によると、アボカドオイルが体が他の栄養素の吸収を助けることができることも示唆しました。 アボカドオイルも果物と同じくらい、リコピン(病気を予防する抗酸化物質)とベータカロチン(免疫系をサポートするビタミンA)の吸収を促進していたのです。
マスタードオイルは、食品医薬品局から警告されている
多くの健康に関連する記事では、低飽和脂肪と抗炎症性アリルイソチオシアネート化合物により、マスタードオイルは、心臓に良いと記載されていました。 しかし、2016年に、米国食品医薬品局は、「マスタードオイルの食用油としての使用は、許可されていない」という警告を発表しました。マスタードオイルとは、からしの種子から抽出、精製された油です。
The Times of Indiaによると、マスタードオイルには、47%のエルカ酸が含まれています。 動物実験では、この酸は心臓に悪影響を及ぼし、貧血と肺がんのリスクを高めました。 科学者がマスタードオイルに対する研究を深めるまで、マスタードオイルは「外部使用専用」と表示する必要があります。
炎症がある場合は、サンフラワーオイルには注意
健康上の観点から考えると、サンフラワーオイルは混合物なので気をつける必要があります。 イラン・イスラム共和国の医療ジャーナル、2017年の研究によると、LDLとトリグリセリドの濃度を下げるという点では、キャノーラオイルと似たような働きをします。 しかし、ひまわりの種には、オメガ6がはるかに高い割合で含まれていることが分かっています。
ハーバードヘルスパブリッシングによると、オメガ6がオメガ3と1対1の比率で含まれている場合、健康的だと言えます。 しかし、サンフラワーオイルは、オメガ6の割合が70%です。 オメガ3は、炎症を軽減させる効果がありますが、オメガ6は炎症を悪化させてしまいます。 サンフラワーオイルの使用には、注意が必要です。
グレープシードオイルは、普通
グレープシードオイルは、悪いものではありませんが、完璧でもありません。 サンフラワーオイルと同様に、グレープシードオイルには、オメガ3よりもオメガ6が多く含まれています。 しかし、国際食品科学栄養誌の2013年の研究で、研究者たちは、サンフラワーオイルよりもグレープシードオイルがインスリンと炎症を抑える効果があることを報告しました。
グレープシードオイルは、飽和脂肪が少なく、ビタミンEが多量に含まれています。このオイルは煙点が高いため、高熱の調理にも耐えることができます。 ただし、多価不飽和脂肪が多く含まれているため、揚げ物の際には気をつけなければいけません。
ピーナッツオイルは、新陳代謝を低下させ、体重を増加させる
落花生の油として知られるピーナッツオイルは、過去にいくつか矛盾する研究結果に直面しています。 Sultan Qaboos University Medical Journalによると、ピーナッツオイルには高レベルのビタミンEが含まれており、炎症を軽減し、免疫システムを強化すると言われています。
一方、2006年の栄養素研究では、ピーナッツオイルは、被験者の新陳代謝を低下させ、体重を増加させることがわかりました。 栄養素に関する2015年の研究でも、同じ結果が記録された為、ピーナッツオイルは、炎症改善にのみ効果があると付け加えられました。 新陳代謝や体重増加が心配な場合は、ピーナッツオイルは避けたほうが良いでしょう。
アマニ油とガン予防
アマニ油は、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。 MDアンダーソンがんセンターは、オメガ3が、体の酸化を抑制し、がんの原因となる炎症を軽減すると報告しています。 さらに、Fourse of Food Science and Technologyの2014年の研究によると、アマニ油はインスリンを調節して腫瘍の成長を防いでくれるという報告もあります。
アマニ油には、多くの利点がありますが、火を使った調理には向いていません。なぜなら、煙点が低く、常に低温で保つ必要があるからです。オハイオ州立大学ウェクスナーメディカルセンターの栄養士であるLiz Weinandyは、アマニ油をドレッシングとして使用することを勧めています。
クルミオイルは、ストレス対処に
クルミオイルは、ナッツの風味と低煙点を持っているので、デザートや焼き菓子などに使うのに向いています。 オメガ6とオメガ3の両方を兼ね揃えている為、体を健康的に保つことはもちろん、体がストレスに対処するのを助けます。
2010年、ペンシルベニア州の研究者は、オメガ3脂肪酸がストレスレベルにどのように影響するのかを研究しました。 その研究から彼らは、クルミオイル(および乾煎りしたクルミ)を摂取すると、人がストレスを感じている間の血圧レベルを低下させるという結果を発見しました。また、2016年の別の研究によると、クルミオイルが血糖値を低下させることが記録されています。
パームオイルよりも良い選択を
ココナッツオイルと同様に、パームオイルには飽和脂肪が大量に含まれています。 アメリカの心臓協会によると、1日あたり20グラム以上の飽和脂肪を消費すると血中コレステロールが上昇し、心臓が危険にさらされることが分かっています。 大さじ1杯のパームオイルには、飽和脂肪7グラムが含まれています。
しかし、27ある研究結果によると、「パームオイルは、現在推奨されている不飽和脂肪オレイン酸と同様にコレステロール値に影響を与える」ことを示唆しました。 言い換えれば、それはあなたの心臓にそれほど悪い影響は与えないということです。パームオイルは、ココナッツオイルよりも優れていますが、だからと言って最高の調理油という訳ではありません。 パームオイルは、抽出する過程で森林破壊の一因を引き起こすのです。
べに花油は、健康を保ち炎症を防ぐ
ベニバナ油には、ビタミンA、D、E、Kとともに不飽和脂肪が豊富です。ベニバナ油がどのように炎症を軽減するかを観察した研究がいくつかあります。 2011年の臨床栄養の研究では、肥満と2型糖尿病の被験者が、1日8グラムのベニバナ油で炎症と血液の健康状態を取り戻しました。
ベニバナ油は、大さじ1杯あたり120カロリーと高いですが、この研究では体重の差に、影響は出ませんでした。 ベニバナ油は、ゴマ油やキャノーラ油よりも煙点が高く、高温で調理しても安全です。 ベニバナ油の栄養素を破壊することなく、揚げ油として使用することができます。
コレステロールを下げるには、米ぬか油
米ぬか油は、アジア料理では人気のある油であり、健康上もいくつかのメリットがあります。 栄養士で体重管理の専門家であるGargi Sharmaは、米ぬか油には、オリザノールと呼ばれる優れた抗酸化物質があると言います。 「オリザノールは、コレステロールの吸収を抑え、コレステロールの排出を増加させるのに役立つ」と彼女は説明します。
2005年、The American Journal of Clinical Nutritionの研究では、米ぬか油は、食物繊維よりもコレステロールをより効果的に低下させることが発見されました。 米国心臓協会による2012年の研究では、米ぬか油が血圧を低下させ、それが心臓にとって大きな健康効果をもたらすと付け加えました。 高い煙点を持つ油として、米ぬか油は炒め物などにも使用することができます。
ヘーゼルナッツオイルは、健康的
ヘーゼルナッツオイルは、ナッツオイルの中でも、多くの脂肪酸、ビタミン、および食物繊維を含んでいます。 栄養素に関する385の科学論文レビューによると、ヘーゼルナッツには心臓の健康を促進する脂質が含まれています。 このオイルは、HDLコレステロールに保ったまま、LDLコレステロールを低下させます。HDLコレステロールは、健康的なコレステロール値を作り出すための必要な栄養素です。
臨床エピジェネティクスの2017年の研究によると、ヘーゼルナッツオイルは、コレステロールを改善しますが、体重の減少には効果がありません。 ヘーゼルナッツオイルは、キャノーラオイルと同様に高い煙点を持っていますが、開封後はすぐに使用しないとすぐに酸化してしまう可能性があります。 しかし、全体として、健康的な食用油として現在は賞賛されています。