お腹をすかせた野良犬、保護したカップルの献身で本来の姿に

ときに、犬の里親になるということは、サイコロを転がすようなもので、巡り合わせは運しだいというところもある。家族に迎える前に、その犬がどのような目にあってきたのかを知ることはほぼ不可能だ。虐待されていたのか、野良犬だったのか、はたまたその犬の行動に影響を及ぼすような経験をしたのかなどについて、常に把握できるわけではない。シェルターによってはこうした疑問に答えてくれるところもあるが、ほとんどがすべてを把握できていない。ここでご紹介する、数奇かつ複雑な過去を持つハスキーのウルフガーも、例に洩れずこうしたケースだった。ウルフガーには幸運にも里親が見つかった。ウルフガーが信じられない変身を遂げるのに必要だったのは、愛情とちょっとしたお世話だった。

野良犬、見つかる

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2015年11月、Imgurユーザーとその夫は野良犬のハスキーが近所をうろついているという噂を聞いた。夫婦はその犬がどんな犬なのか興味を引かれ、探しに出た。やっとその犬を探し当てたとき、その犬が何とかしてやらなければならない状態にあるのは明らかだった。

ハスキーは人を怖がっていたが、特に、男性を怖がっているようだった。ソーシャルメディアに「ご覧の通り、酷い状態です。(中略)毛が生えず皮膚が見えているところもあるし、あばら骨も浮き出ています。脇の方には大きな傷跡まで…」と夫婦は投稿した。

極端に痩せこけている犬

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夫婦はその犬をウルフガーと名付け、引き取ることに決めた。ウルフガーを健康にするために一体何をしなければならないのかを調べようと、すぐに動物病院に連れて行った。

夫婦は「一般的なオスのハスキーは、大きさにもよりますが、45~60ポンドくらいです。ウルフガーの体重を測ったところ、たったの39ポンドしかなかったのです。動物病院の医師は、ウルフガーの本来の体重は50~55ポンドくらいになるだろうということでした」と述べている。

皮膚にも問題が見つかる

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ウルフガーは瘦せすぎであるばかりか、野良犬生活のために毛や皮膚の状態も酷かった。ウルフガーを引き取ることにした夫婦は「毛包虫症」と診断されたとコメントした。

ハスキーは皮膚が赤く、乾燥して、まだら模様ということから、この感染症にかかってからしばらく経っているものと思われた。「可哀想に、この子はもう数ヶ月間も感染症に苦しんでいるのでしょう」また、免疫システムもうまく働いていなかったため、ウルフガーには抗生剤と薬用シャンプーが処方された。幸いなことに、犬糸状虫やノミは見つからなかった。

ウルフガーを家に連れて帰る

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徹底的かつ驚くほどの検査を終えて、やっと夫婦がウルフガーを家に連れて帰るときがきた。新しい家に移るのだ。夫婦はウルフガーを連れて帰るとすぐにケージを用意し、寝床を作ってやった。

「ウルフガーはためらうことなく中に入っていったことから、おそらくケージで以前も飼育されていたのではないかと思います。分からないのは、この子に起きたことと、どこから来たのかということです。去勢手術はされていませんでした(だからといって、この子を返すというわけではありませんが)」夫婦はこう報告している。

ウルフガーが野良犬になった経緯についての仮説

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夫婦はなぜウルフガーが野良犬になったのかについて、色々と推測し、仮説を立てた。しかしながら、ウルフガーは虐待・ネグレクトする飼い主の元から逃げてきたのだろうという意見で一致した。おそらく大きな傷はそのときにできたものだろう。さらに、成人男性を怖がっている様子からも、この説は裏付けられるようだった。

ウルフガーが周りの環境に慣れるまでにはしばらくかかり、はじめの数日間は夜にケージの中で鳴いていた。残念なことに、ウルフガーは疥癬にかかっているため、夫婦の寝室にまだ入れることはできなかったのだ。

ずっと寝てばかり

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新しい家にもらわれてから数日間、ウルフガーは寝てばかりいた。それはケージの中だけでなく、寝られるスペースさえあれば所かまわず昼寝していた。

夫婦は、これはウルフガーがこれまでに辛い思いをしており、今は怖がることなく寝ることができるようになったためだろうと考えた。「ウルフガーは主にケージの中で寝ているか、リビングのふわふわの毛布の上で寝るようになりました」と夫婦は投稿した。

新しい家や家族に心を開き始める

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時が経つにつれ、ウルフガーは新しい家と家族に慣れてきたようだった。そればかりか、ちょっとしたご褒美にも気づき、喜ぶようになってきた。

飼い主は「これは家に連れて帰ってから、さらに一週間くらい経ったときの写真です。ウルフガーは私が持っているおやつを見ています。こうでもしないとなかなかカメラの方を向いてくれません」と述べている。

初めてのドッグラン

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飼い主は色々と考えられる理由から初めは躊躇していたのだが、ウルフガーを初めてドッグランに連れて行くことにした(もちろん、飼い主の監視付きで)。野良犬だったこともあるため、ウルフガーが他の犬に対してどのように反応するのかが心配で、他の犬とトラブルにならないことを願っていた。

一般的なハスキー犬のように、ウルフガーは他の犬に対してもフレンドリーで、うまく一緒に遊ぶことができた。飼い主はホッと一安心し、これからもウルフガーについては色々とうまくいくだろうという希望を持った。

彼は濡れた!

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ドッグランでは、ちょっとしたハプニングもあった。ウルフガーは池に落ちてしまったのだ!しかしながら、ウルフガーは気にする様子もなかった。飼い主はブルブルと身震いする前のびしょぬれになったウルフガーをカメラに収めることができた。

こうした様子は非常に興味深い。なにせウルフガーはほんの数週間前までは野良犬だったのだから。ウルフガーの状態は上がり調子で、飼い主はウルフガーについて、次にはどんな新しい発見ができるだろうかとワクワクした。

お気楽な犬の仲間入り

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ドッグランでは、飼い主はウルフガーの回復ぶりを記録に残そうと、写真を撮り続けた。傷を背負った野良犬が、健康になり、たっぷりの愛情を受けてドッグランを楽しんでいる様子を見るのは素晴らしいことだった。

これまでにウルフガーは、道路からドッグランで気ままに遊んでいる仲間を見たこともあったかもしれない。が、今やウルフガーもそんな犬の仲間入りをはたし、これ以上ないほどに嬉しそうだった。すっかりと気を許し、元気を完全に取り戻すまであと少しのところまできていた。

仲間と遊ぶ

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飼い主はウルフガーが他の犬と遊んでいるこの写真に、こうコメントを残している。「ほとんどの場合、相手の犬がフレンドリーであれば、どんな犬ともすぐに仲良く遊べます。攻撃的だったり、ウルフガーに向かって吠えるような犬もいましたが」

ハスキーの割にはウルフガーはあまり吠えない大人しい犬で、相手に吠えられることはあっても、吠え返すことはなかった。困ったように相手の犬を見ているくらいだった。「野良犬のときに生き延びるために他の犬や動物と戦ったりすることもあったことでしょう。そういった状況を考えると、ウルフガーはとても素敵な犬だと思います。だって、心はくじけていなかったということですから」

すべての犬がウルフガーと同じくフレンドリーとは限らない

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もちろん、ウルフガーが他の犬に対してフレンドリーであったとしても、相手の犬が同じようにフレンドリーであるとは限らない。たまに、ウルフガーと一緒に遊びたくないという犬もいて、それを態度で表してくる。

こういった場合に出くわしても「このハスキーとシェパードのミックス犬はフレンドリーではありませんでしたが、ウルフガーは気にも留めてない」と夫婦はコメントしている。もちろん、ウルフガーは野良犬のときにもっと恐ろしい犬や他の動物と出くわしたこともあることだろう。

飼い主のもう一匹の飼い犬と顔合わせ

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ドッグランでウルフガーはたくさんの他の犬と出会い、うまくやってみせたため、飼い主はウルフガーを自分達のもう一匹のハスキー、ウルフガーにとっては「義兄弟」となる犬に会わせようと考えていた。そしてついに、ウルフガーが義兄弟と顔合わせをしたとき、まだ少し警戒している様子が見られる。そしてこの写真から、まだ尻尾の毛がまばらである様子がうかがえる。

ウルフガーがこれまでの経験から、何らかのトラウマを抱えていることは明らかだ。しかし、しばらくすると、ウルフガーはこのハスキーと友達になりたい様子を見せていた。

色の変化

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時間が経つにつれ、疥癬を患っていた皮膚も毛で覆われ始め、ウルフガーのまばらだった毛はびっしりと生えそろってきた。ウルフガーの毛が密になると、飼い主らはその毛色が変わってきたことに気づく。

ウルフガーの毛は元々赤い色が混ざっていたのだが、すべての毛が生えそろってくると、全体的にまだらの色はグレーがかり、太陽の光の下では濃い赤銅色にさえ見えた。そのため、ウルフガーは今や、その中身だけでなく、見た目にも、すっかり別の犬になったかのように見えるのだった。

1ヶ月後

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夫婦がウルフガーを引き取ってから1ヶ月と少し過ぎたころには、すっかり別人、もとい別犬のようだった。ウルフガーは夫婦が初めて家に連れて帰った頃のように、人見知りをすることも、臆病でもなくなった。

また、夫婦はウルフガーが好きなことも見つけた。そのうちの1つは、車に乗ることだ!このころまでに、ウルフガーは通常のハスキーの体重まで、あともう一歩というところまできていた。

相変わらずお昼寝が好き

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ウルフガーがお昼寝をすることが好きな主な理由は、環境の変化によるものだと夫婦は思っていたが、まもなくして、これは性格によるものでもあることに気がついた。

夫婦は投稿コメントで「友達作りや車に乗ることよりも、この世にウルフガーが好きなことがあるとすれば、お昼寝でしょうね!」と述べている。犬が少しでも警戒していたら、腹を見せて寝転がることはないため、ウルフガーのこの態勢は、ウルフガーが心穏やかに幸せに過ごしていることを意味している。

人間観察

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ウルフガーの毛がふさふさになり、体重も一般的なハスキーと同じくらいに戻った頃には、飼い主はウルフガーが人を観察することが好きなことに気づいた。「ウルフガーは裏庭に行くのが好きなんです。そこで座って、近所の人を観察するのが好きなんです」と飼い主は述べている。

「他人が家に近づきすぎると、ウルフガーは吠えて知らせます。こうした番犬的な役目をしてくれるのはありがたいですが、果たしてどのくらい人を見る目があるのかについては分かりません」ウルフガーがもし家族を守ろうとして吠えているのかと思うと、愛しさを覚える。

好きなようにできる居心地の良さ

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この写真に飼い主が添えたコメントは「普通の犬みたいに立つこともできるけど、ま、いっか」だ。これはウルフガーが好きなこと、何であれ居心地よくするために何かをしているところだ。猫のようにも見えるが、もちろん、猫とはまったくかけ離れている。

これはウルフガーが新しい終の棲家にかなり馴染んでいる証拠だ。自分の好きなようにできるほど居心地よく感じているのだから。これは犬が食べるときにとるポーズではないかもしれないが、犬がとる、これよりもおかしなポーズを見たこともあるだろう。

まだまだ変化は続く

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日に日にウルフガーは健康を取り戻していった。この写真からも、野良犬だったことを比べて随分と変わっているのは明らかだ。今や、ウルフガーの毛色は黒っぽくなっている。

飼い主は「この写真だと、毛色がずいぶんと黒っぽい色合いになっているのが見えると思います。これが冬用のコートだといいなぁ。だって、前の赤っぽい色もとっても可愛かったから」と書いている。毛色にかかわらず、飼い主はウルフガーが順調に回復していることにとても喜んでいる。

タイルフロア、大好き!

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他の犬と同じく、ウルフガーも冷たいタイルのフローリングでくつろぐのが好きだ。特にドッグランでたくさん遊んだ後には。時には、この写真のように、タイルに寝そべったが最後、目を開けていられなくなることも多い。

この日もおそらく、ドッグランでたくさん遊んできたのだろう。ウルフガーくらいの大きさの犬が必要とする運動量を毎日こなせているのはとてもいいことだ!この幸せそうな顔!

ドライブ大好き

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すべての犬がウルフガーほど車に乗ることが好きなわけではないが、ウルフガーは車に乗ることが大好きだ。車のドアが開くと、車に飛び乗り、ドライブに出かける準備は万端!どこに行こうがお構いなしだ。ウルフガーは飼い主について車に乗ってお出かけするのが大好きなようだ。

飼い主はウルフガーがこれまでにどのような経験をしてきたのか知らないため、ウルフガーが大喜びで車に乗ることにとても驚いたことだろう。それに、これは飼い主が大して努力せずとも簡単にしてあげられるご褒美になる。

大好きな行先は、ドッグラン

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飼い主の家の近くにはドッグランがあるため、よくそこにウルフガーを連れて行く。行く道中、ウルフガーが景色を見たり、においを嗅いだりすることができるように、飼い主は窓を全開にする。

飼い主は自分達の家からドッグランが近いために、ウルフガーをそこにしょっちゅう連れて行き、他の犬達と交流をさせてやっている。これは犬が犬らしく生きるために必要なことだろう。

行き道を把握している

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信じられないかもしれないが、ウルフガーはドッグランまでの道を覚えているようだ。飼い主によると「もうすぐでドッグランに着くというところまでくると、クンクンと鳴き、興奮から後部座席で待ちきれないようにソワソワと動き回るんです」ということだ。よっぽど好きなのだろう。

ただ、我々はこれがウルフガーに限ったことではないことも知っている。ほとんどの犬が、外したリードがぶら下がっている場所を見ると、興奮してしまうだろう。だが、これはウルフガーの過去がどれほど不幸なものであったとしても、現在は他の一般的な犬のようになっているという証拠でもある。

以前と違うところ

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毛が密になって色が濃くなったことに加えて、見た目で変わったことと言えば、背丈が高くなったことと、その尻尾だ!以前はひょろっと細くて毛がなかったほどだったのに、今はふさふさとして、元気いっぱいだ。これは健康で、不安がない証拠だ。

たった数ヶ月のうちに、癖から外見に至るまで、すべてがすっかりと変わった。犬も飼い主も、最高に幸せだ!

体重はもう問題なくなっている

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ウルフガーを引き取って数ヶ月の間、夫婦はウルフガーが家族となじめるのかなどについて心配していた。今では、ウルフガーがちゃんと馴染んで家族の一員になっているため、夫婦の心配はすっかり解消している。

ウルフガーはどうやらすっかり馴染んだようで、この家の「人の食べ物はダメ」というルールを破りはじめた。この写真ではウルフガーがいけないところに鼻を突っ込んでいるが、おそらくこれが初めてのことではないだろう。

ハスキーの目

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これは、里親に引き取ってもらってから、してもらったことすべてに感謝している犬の目だ。もしも生まれたときと大きくなったときで比べてみることができたならば、まるで別の犬の目のようであることは間違いない。

ほんの数ヶ月前までは臆病だったのに、今や落ち着いて幸せそうにしている。ウルフガーは見た目にもかっこいいだけでなく、この目で誰の心をも溶かしてしまうだけの魅力を備えている。

最終的な変化

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この写真に飼い主がつけたコメントはこれだ。「私のお気に入りの一枚です。今は幸せで、健康で、甘えん坊です。私たちはウルフガーが大好きで、服にたくさん毛がついてしまうけど、それさえ愛おしいくらい」この写真は、たとえ最悪な状況にあった犬でも、必要としているのはほんの少しの愛情とお世話であり、それさえあればここまで回復できるということを物語っている。

ウルフガーが野良犬から夫婦の人生の光となったということは、本当に喜ばしいことだ。今やウルフガーは居心地のいい家に家族と暮らしており、満足している。そう、すべての犬がこのようにあるべきだ。

はじめは誰も気づかなかったが、誰もが好きになった犬

これまでにもピットブルが可愛い変顔をしている写真を見たことがあるだろうし、知り合いのピットブルが大好きになったこともあるだろう。ピットブルには個性がある。飼い主に忠実でフレンドリーな性格だけでなく、ペット業界や里親探しの世界においては悪い噂についても聞いたことがあるのではなかろうか。

もちろん、どうしてこの種類の犬にこのような悪い評判が立つのか、ペット業者やシェルターなどで聞いてみなければならないだろうが、ここではこのシェルドンがユニークな個性を持っているとして、他のピットブルとどのようにして一線を画したのかについてご紹介しよう。

シェルドンの問題

シェルドンは、ピットブルとして分類された以外に特に特徴を持たない、シェルターに送られてきた犬だった。シェルターにいる犬の中で、ピットブルの割合は統計的にそれほど大きい割合を占めてはいないが(2014年に32%)、例に洩れず、シェルドンもまたフレンドリーではなかった。シェルターのスタッフはシェルドンが人見知りのある、怒りっぽい犬だという印象を持った。ピットブルらしいと言えば、らしい。

どのようにして犬がシェルターに送られてきたのかに関わらず、もしくは捨てられた理由がどんなに悪意のあるものではなかったとしても、犬にとってはケージの中で暮らすことは生易しいことではないし、良い環境であるともいえない。それはどんなにシェルターのスタッフが頑張ってお世話をしてくれていたとしても、だ。

マリコパ郡動物保護管理局

可能な限り最高の環境であったとしても、シェルターは犬や猫が住みたい場所ではない。特に、シェルターに来る前まではどこかの家族の一員であった場合には。スタッフに対する反応から、シェルドンが以前は誰かに飼われていた犬だということは明らかだった。

シェルドンは2016年、アリゾナ州フェニックスにあるマリコパ郡動物保護管理局、つまりシェルターに引き取られた。世界中にも、国内にも数多くシェルターが存在するにもかかわらず、シェルターには保護を必要とする新たな犬や猫が絶えず送られてくる。また、シェルターは動物の世話をし、否応なくやってくる動物達が毎日シェルターで何とかやっていけるように手助けしてくれるボランティアを常に探している。

シェルドンのシェルターでの生活

多くの捨てられた犬や野良犬と同じように、シェルドンはマリコパ郡動物保護管理局に初めてきたとき、活気が見られなかった。かつては、かわいがってもらっていたのだろうということは明らかだった。お座りもお手もできた。元の飼い主は、こうしたしつけをしていたのだろう。

シェルターに送られた後にも、シェルドンを探しに来る者はいなかった。シェルターに取り残され、引き取り手もなかった。シェルドンは元気がなさそうで、臆病な様子からフレンドリーでもないようだった。シェルドンは「悪い子」でも「いじわる」でもなかった。他の動物に600~800件ものメッセージが送られる中、シェルドンは目立つ存在ではなかった。そして、シェルドンの飼い主が見つけることもなく、また他に引き取り手もなく、シェルターでの生活も一ヶ月になろうとしていた。

写真がすべてを表している

シェルターでボランティアをするヘザー・ハルトメイヤーの仕事には、動物の写真を撮ることも含まれていた。ヘザーはこの仕事を単なる写真撮影では終わらせなかった。シェルドンはヘザーが通常写真を撮る犬ではなかったが、シェルドンのことは知っていた。ヘザーは「シェルドンのことは知っていました。見る度にケージの中でジャンプして尻尾を振ってくれていました。まるで「僕を見て、僕を見て」って言っているように。シェルドンの唇は最高に可愛らしいピンクでした」

こんな犬に誰がダメと言えるだろう。ヘザーにはシェルドンに断ることなどできなかった。シェルドンはついに警戒心をとき、心を開いてフレンドリーになった。そうして心から欲していた注意を引きつけることになる。

シェルドンの個性が引き出される

ヘザー・ハルトメイヤーはシェルドンに蝶ネクタイを付けた。そしてカメラを向けると、すぐにシェルドンの個性が光りだしたのが見えた。シェルドンはリラックスしているようで、そればかりか、まるで「考えごと」でもしているかのように見えた。人に注意を向けてもらうことが好きなようだが、それ以上に、カメラを向けた途端に態度がまったく変わったのだ。ある意味、シェルドンが生き生きとしてきたとも言える。

そのため、ヘザーはたくさんの写真を撮った。そして、シェルドンはたいていの場合、元気がなさそうで、人見知りしているかのように見えていたが、実際にはまったくそうではないことが分かった。本当のシェルドンには、ユニークな個性があったのだ。そして、シェルドンの写真を見れば、その個性が見えてくるだろう。

シェルドンには才能があった

そう、これは本当のことだ。ヘザー・ハルトメイヤーはシェルドンが写真を撮られることが好きで、カメラと人の注意を向けられることが好きなことを発見した。そう、シェルドンのひねくれていると思われた性格は、蝶ネクタイなどなくても、輝きだし、シェルドンの個性をさらに多く見つけていくことになるのだった。

ヘザーは説明しながらも感心したように、「シェルドンはすごく夢中になっているようでした」と言った。ご存知の通り、すべての動物がカメラを前にしてうまく写真撮影できるわけではない。そのため、シェルドンは何か特別で、個性的で光る何かを持っていたのだ。ヘザーはその個性を捉えようとした。不機嫌そうな顔つきから、おどけたポーズまで。

シェルドンのおどけた性格、フェイスブックでデビュー

シェルドンの写真は2017年1月に「私達のひいき目かもしれませんが、シェルドンこそ、この表現力で有名犬になるべきです」という説明書きとともに投稿された。また、「里親になれば、シェルドンの写真を好きなだけ撮ることができて、どんなにか楽しいことでしょう!」とも加えた。

確かにそれが肝心なことだ。写真は、引き取りたいと思わせる理由の一つに過ぎない。結局のところ、奇抜な顔も愛らしい顔も、シェルドンを愛さずにはいられず、家に連れて帰りたくなるのではないだろうか。そしてシェルターはそれを望んでいたのだ。

「気難しい年寄り」?

ヘザー・ハルトメイヤーの撮影した写真は、応援者やファンの間で瞬く間に人気となった。「シェルドンは気難しい年寄りみたい。どうかこの渋面が笑顔に変わりますように!」というコメントも寄せられた。どうやら、たくさんの人がシェルドンの動向について関心を寄せているようだった。

写真とその説明で、シェルドンがどんな犬なのか、どんな相棒犬になるのかについて分かってもらえたようだった。だが、写真のおかげで少なくとも1人がシェルドンを気に入ったようだった。誰がこんな気難しい顔つきや、おどけた表情を愛さずにいられるだろうか。

シェルドンが気に入ったエミリー

数ヶ月にわたって誰もシェルドンに興味を示さなかったが、ついに応援者やファン、友人らによって、シェルドンは注目の的となった。エミリー・チャミルは「写真で見る真剣な表情を見て、とてもシェルドンが好きになりました。そしてシェルドンを引き取るべきだと思いました」と語る。

これまでに見た写真から、シェルドンはこれからもカメラの前で演技力のある役者のようにふるまうことだろう。そして、エミリーはそのことがまったく気にならないようだ。エミリーはシェルドンの個性を受入れ、シェルドンはすぐに新しい家に慣れたようだった。それは最高の関係だった。

エミリー、シェルドンを家に連れて帰る

ヘザーのカメラマンとしての目とその技術は確かなものだった。エミリー・チャミルはシェルドンのしかめっ面を見て好きになり、家に引き取ったのだった。幸運にも、話はそこで終わらない。エミリーはシェルドンの暮らしぶりをこっそりと撮影しては、その様子を知らせてくれている。

シェルターのボランティアでカメラマンであるヘザー・ハルトメイヤーは、シェルトンに起こった一連の出来事に喜びを隠しきれないようだ。「写真のおかげでたくさんの人がシェルドンのファンになってくれたのだと思います。とても嬉しいです」さらにこう続けた。「写真を投稿する目的は、人々の関心を引きつけて、そこかしこにいる他の犬とは違うと、個性を際立たせることですから」

カスティエルの冒険

そう、我々は皆、シェルドンが新しい家に落ち着いたことを知って、喜んでいることだろう。シェルドンには新しい名前まで付けられた。その名前は「カスティエル」。ご存知ない方のために補足すると、これはアメリカCW系列で放送されたテレビ番組「スーパーナチュラル」に出てくる天使の名前だ。カスティエルの最も記憶に残る特徴と言えば、その「仔犬のような」目でじっと見つめ、あたかも飼い主をどうすることもできないかのような気分にさせることだ。

この天使のキャラクターとエミリーが新たに引き取ったペットにはいくつか共通点がある。どちらも撮影されたその写真には、多くのファンの想像力や心配、関心を寄せさせる何かがあるようだ。さらに写真を通じて光るユニークな個性は、新しい家族を獲得するきっかけとなった。この犬にカスティエルという名前はまさにピッタリであるようだ。

カスティエルの暮らし

カスティエルが新たな飼い主エミリー・チャミルとどのように暮らしているのか気になるのであれば、この椅子の上でくつろいでいる様子を見ればお分かりいただけるだろう。そう、完全にくつろいでいる。エミリーはさらに、カスティエルがエミリーの家にある中庭の探索を楽しんでいることや、エミリーが飼っている他の猫たちとも仲良くしていると報告している(常に良い兆しだ)。

エミリーは定期的にカスティエルにどちらが飼い主なのかを思い出させなければならないらしい。ただ、エミリーの家に来て日も浅いため、カスティエルは家でやってはいけないことなど、学ぶこともまだまだ多いようだ。結局のところ、エミリーとカスティエルはこれから長いこと一緒にいるのだから、すべてはそのうちに学んでいける。

ハチ公は、秋田犬

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Photo Credit : @ichimura_ko / Twitter
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“ハチ”、”ハチ公”の愛称で呼ばれていた犬の犬種は、秋田犬である。秋田犬は、天然記念物にも認定されている大型の日本犬でもある。もともと、秋田犬は、忠誠心が強く温厚で、命令にも素直に従うことで知られている。

しかし、その一方で攻撃性も強く、しっかりと躾けられていないと、飼い主に噛み付いたりと暴力的になる一面もある。ほとんどの犬がそうだが、躾によってその犬の個性が良い様に作用されたり、その反対の結果になることもありうるのだ。

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Photo Credit : 忠犬ハチ公 / Wikipedia
Photo Credit : 忠犬ハチ公 / Wikipedia

ハチは、1923年の11月10日に秋田県北秋田郡二井田村で、父犬のオオシナイ、母犬のゴマの間に、8人兄弟のうちの一人として産まれた。当時、東京帝国大学農学部(現・東京大学)で教授を勤めていた上野英三郎が、秋田犬の仔犬を飼いたいと思っていたところに、ハチが届けられたのがきっかけで、ハチは上野家の一員となる。

ハチは、当時の上野が飼っていた”ジョン”と”エス”という2頭の犬と共に、生後間もない状態で上野の家で育てられることとなる。2匹と問題なく打ち解けたハチは、特にジョンという犬と仲良くしていたようだった。

秋田県から20時間かけて移動

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Photo Credit : by: Education Images/Universal Images Group via Getty Images
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ハチは、当時の30円という価格で、上野の家へ引き取られることとなった。上野の自宅は、現在の渋谷区松濤一丁目付近に位置しており、秋田県から長旅の中、上野の元へと届けられたのだ。その当時の秋田県から渋谷への移動時間は、20時間を越えるものだったという。

長旅を乗り越え、到着した上野家で、ハチは大切に育てられることとなる。ハチは、上野にすぐなつき、玄関先や門の前で、必ず飼い主のことを見送った。時には、最寄駅の渋谷駅まで送り迎えすることもあったそうだ。

突然の別れ

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Photo Credit : by Takashi Aoyama/Getty Images
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ハチを飼い始めて1年程経った頃、飼い主の上野は、農学部の教授会の会議中に突然、脳出血で倒れてしまう。その後、病院に運ばれたが、そのままは上野は急死してしまった。これは、1925年の5月21日のことであった。

あまりの突然の別れを、ハチも感じていたのか、上野の死後3日間、ハチは何も口にしなかったという。通夜が行われた日も、上野の飼い犬であった、ジョンとエスと一緒に渋谷駅まで向かったという。

飼い主の家を転々としたハチ

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PhotoCredit : by Keith Tsuji/Getty Images
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上野の死後、ハチは、上野の妻である八重(やえ)の親戚の呉服屋に預けられることになるが、ハチの人懐っこい性格が、裏目に出てお客さんが来るとすぐに飛びついてしまう為、呉服屋は商売にならず、浅草の高橋宅へと移されることになった。

しかし、最初の飼い主である上野への忠誠心が強すぎたのか、ハチはどこに移動しても渋谷駅に向けて脱走してしまったのだ。その為、ここでも揉め事が起こり、再び渋谷の上野宅へ戻されることとなる。

それでもハチは、渋谷駅へ

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Photo Credit : @setsunaiotona / Twitter
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渋谷に戻ったハチだが、相変わらずハチのやんちゃな性格は、畑の作物をダメにしてしまったりと、トラブルが絶えなかった。そんな中、上野の家を出入りしていた小林菊三郎の元に最終的に届けられることとなる。

その時、すでに上野の氏からは2年が経過していた。そして、この時から度々、ハチの姿が渋谷駅周辺で見かけられるようになっていった。ハチは、小林から可愛がられていたにも関わらず、渋谷駅へと通っていたのだ。

ハチの10年間の忠誠心

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Photo Credit : @manbou1224/Twitter
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ハチは、幼少期から可愛がられていた小林の家に移動しても尚、渋谷駅へ向かうことを止めなかった。そして、渋谷駅へ行く際には必ず、上野宅に立ち寄り、窓の外からしきりに中の様子を確認していたという。

これは、上野が亡くなってから約10年経った1935年まで、頻繁に行われていたという。ハチは、上野の姿を渋谷駅でずっとずっと待ち続けたのだ。当時のようにまた、上野が笑顔で渋谷駅から出てくるその瞬間を。

ハチの耳が片方折れている理由

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Photo Credit : @aya_celeb_birth/Twitter
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しかし、渋谷駅に度々現れるハチを、全ての人が快く思う訳でなかった。ハチは、通行人や渋谷駅で商売をしていた商売人から虐待を受けたり、子供にいたずらされることが多くあったという。ハチの左耳が垂れているのは、生まれつきではなく、これは野良犬に噛み付かれた後の後遺症だったようだ。

一方で、忠誠心の強いハチのことに感銘を受けた日本犬保存協会は、虐待やいじめなどの実態を防ぐために、ハチのことを新聞に掲載した。ハチの裏にある話に、多くの人が心を奪われ、瞬く間にハチは、「ハチ公」の愛称で人々から親しまれるようになった。

もう待たなくていいんだよ

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Photo Credit : @ninki_omoBOT / Twitter
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1935年の3月8日、渋谷川にかかる稲荷橋付近で、ハチは亡くなっているところを発見された。それは、上野の死後から約10年経った頃だった。実は、ここは渋谷駅からちょうど反対側で、普段のハチなら絶対に行かないところである。

この場所でなぜ亡くなっていたのかは、謎に包まれたままだが、ハチの告別式は渋谷駅で行われ、駅の職員や町内の人々など、多くの人がハチの死を弔い、参列した。ハチは、大好きな上野と同じ青山霊園で同じ墓に入れられた。

銅像は、ハチが生きている時に造られた

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Photo Credit : by Keith Tsuji/Getty Images
Photo Credit : by Keith Tsuji/Getty Images

人が行き交う渋谷駅。再開発が進む渋谷駅で、今もハチ公像は人々を見守っている。当時、の忠犬ハチ公の話に感動した多くの人が、ハチ公像の建設に賛成したそうだ。しかし、このハチ公像、実はハチがまだ存命中に建てられたのである。

1933年、ハチの美談に感動した彫塑家の安藤照は、ハチ公像の制作を提案した。これにより、日本犬保存会の正式な依頼により、忠犬ハチ公像の作成が実現された。その裏には、ハチに関する全ての情報を上野家から託されたと主張する老人のお金稼ぎを阻止するために、ハチ公像の制作は急がれ、ハチの生存中に銅像が建てられたという裏話がある。

ハチは、どんな時でもご主人を待ち続けた

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Photo Credit : @setsunaiotona / Twitter
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多くの飼い主を転々としたハチだが、上野に対する忠誠心は、片時も忘れることがなかった。いつもいつも、隙をみてはその家を脱走して渋谷に向かっていたのである。上野の生前、ハチはいつも上野と一緒だった。

上野のことを誰よりも慕い、彼の帰りを待ち続けたのだ。それは、雨の日も雪の日も嵐の日も同じだ。いつか、あの改札の向こうから上野がまた以前みたいに、出てくるのを夢に見て。ハチの上野に対する忠誠心は、誰よりも強かったのである。

ハチの話は映画に

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1987年、ハチのこの素晴らしい実話は、映画化された。この映画制作にあたり、どこが出資するのかで一悶着あったが、東急グループからの出資があり、無事実現された。配給元となった松竹富士から、当時、動物に関する映画が公開されるのは異例であり、世間からも疑問の声が上がったが、結果的にかなりの高評価をうけ、興行収入20億を超える大ヒット作となった。

その後、2006年には、日本テレビ系列のドラマで「伝説の秋田犬 ハチ」として再び放映され人気を呼んだ。時代に関係なく、ハチの話は引き継がれていったのだ。

日本だけではなく、世界の「HACHI」に

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Photo Credit : TORU YAMANAKA/AFP/Getty Images
Photo Credit : TORU YAMANAKA/AFP/Getty Images

ハチの映画化は、日本国内だけに止まらなかった。2009年には、日本で公開された「ハチ公物語」のリメイク版として、「HACHI 約束の犬」としてアメリカで公開された。この映画の舞台設定は、日本ではなく現代のアメリカの架空の街という設定に変更された。

この映画で主演を務めたリチャード・ギアは、セリフのないシーンの多さに、難しさを感じながらも、この映画のその「静けさ」に作品の魅力を感じたと話している。リチャードは、初めてこの映画の脚本を呼んだ時、涙が止まらなかったという。

HACHIは、一匹ではなかった?

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Photo Credit : ANDREAS SOLARO/AFP/Getty Images
Photo Credit : ANDREAS SOLARO/AFP/Getty Images

「HACHI 約束の犬」でHACHIを演じた犬は、1匹ではなかった。フォレスト、レイラ、チーコという3頭の秋田犬によってそれぞれ演じられていた。3頭の性格に合わせて、それぞれシーンを分け、撮影されていたようだ。

レイラは、人と遊ぶことが大好きで、フォレストは、少しミステリアスで孤立を好む傾向があったという。そしてチーコは、撮影現場近くで飼われていた秋田犬で、少しメイクをして老犬役を演じたそうだ。

秋田犬に特別な物を感じたリチャード

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Photo Credit : @manbou1224/Twitter
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彼は、シネマトゥディのインタビューに、「犬の中でも秋田犬は特別だ。」と話している。その理由を、「動物の中でも、簡単にトレーニングすることが難しくて、強制的に教えることのできないデリケートな犬なんだ。」と答えている。

しかし、「一度信頼を得ると非常に忠誠心の強い犬で、その点は映画製作上でのスタッフと俳優の関係に似ているかもしれないね。」と答えている。まさに、その秋田犬の特性こそが、ハチの物語を作ったのであろう。

海外でも涙が止まらない・・

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Photo Credit : by Yuri SmityukTASS via Getty Images
Photo Credit : by Yuri SmityukTASS via Getty Images

「HACHI 約束の犬」は、海外でも大ブレイクした。この映画を見て、泣き崩れる人が続出したのだ。その中でも、この映画を見ながら泣きじゃくっている海外人達の動画は、インターネット上で大きな話題になった。

「予告を見ただけで泣ける」「主題歌を聞いただけで泣ける」など、日本に限らず、まさに”全米が泣いた”大ヒット作品となったこのリメイク版は、実話とは多少異なる部分があるものの、その違いを逆に楽しむことができる作品である。

「秋田犬の里」がオープン

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Photo Credit : @playshibuya / Twitter
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ハチの話題は、何年経っても消え去ることはなかった。今年(2019年)の4月17日には、秋田犬に「秋田犬の里」がオープンした。ここは、当時ハチが上野を待っていた渋谷駅をモチーフに設計され、館内には秋田犬に関する資料が多く展示されている。

「秋田犬ミュージアム」や「お土産コーナー」の他、秋田県と直接触れ合える「秋田犬展示室」などがあり、開館以来、来場者数は右肩上がりで好調のようだ。機会があれば一度行ってみるのもいいだろう。

スケート選手のザキトワも秋田犬の虜

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Photo Credit : @archivezagitova/ Tiwtter
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秋田犬の魅力に惚れ込んだのは、日本人だけではない。新潟県で平昌五輪前にスケーティングを行っていたザキトワ選手は、雑誌で見た秋田犬を一目で気に入り、母におねだりしていた。

しかし、金メダルを獲得したザキトワ選手のこの話が話題となり、秋田県大館市の秋田犬保存会が子犬を彼女にプレゼントしたのだ。彼女はとても喜び、その子犬に、日本語で勝利を意味する「マサル」と名付けた。秋田犬は、多くの人を魅了しているのだ。

人はなぜ、ハチ公の話に心を打たれるのか?

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Photo Credit : @Eo3w4M /Twitter
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犬と人との繋がりの強さを実証した、忠犬ハチ公の物語。この物語は、日本人だけではなく多くの人の心の虜にした。しかし、人はなぜこの物語にそんなに心を惹かれたのだろうか。その一つの魅力は、ハチの心の底にあった忠誠心と、亡き人を思い続ける尊さと優しさにあるのではないかと思う。

動物と人間の絆を描いた映画や物語は、動物好きの人にとっては無条件で涙が溢れてくるものだが、この作品は実話であり、現代社会では忘れがちの気持ちを思い出させてくれるところが人々の心を強く打つのであろう。

これからもハチの思いは生き続ける

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Photo Credit : @setsunaiotona / Twitter
Photo Credit : @setsunaiotona / Twitter

当たり前に待ち合わせている渋谷駅ハチ公前。そのハチ公には、多くの歴史と物語が隠されていた。今までなんとなくしか分かっていなかったハチ公の物語を、改めて再確認することができたのではないだろうか。

人と犬との間に生まれた絆、そして忠誠心。ハチの本当の気持ちを完璧に代弁することはできないが、犬にも人間と同じように心があることを決して忘れてはならないだろう。この物語は、きっとこれからも多くの人の心を感動の渦に巻き込むだろう。